メインコンテンツまでスキップ

2025年度共通テスト情報Ⅰ解説

· 約47分
Matsuyuki
Matsuyuki

2025年度に行われた共通テストの「情報Ⅰ」の解説です。各問題の解説をしているのは、おそらくこのブログが日本最速だと思います。
なお、筆者は情報Ⅰの授業を受けたことがない(全て独学)ため、実際に使用されている教科書には出てこない単語があるかもしれません。
また、情報学の専門家でもありませんので、解説に誤りがある可能性があります。あらかじめご承知おきください。

問題文はこちらから入手できます: https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2217520

※このブログ内では、回答の順序を問わない設問について、一律でアイウエオ順で回答しています。

なお、このブログの大元のサイトである「よもぎサーバー」では、毎週土曜日の21:30からマイクラ人狼ゲームのイベントを開催しています。Minecraft統合版とDiscordを持っている人ならこちらのDiscordサーバー招待ページから誰でも無料で参加できます。受験が終わってから、あるいは受験の息抜きにぜひお越しください!

第1問

問1

a デジタル署名とは、重要なメールなどの情報と一緒に送られる署名です。デジタル署名とは元の情報をハッシュ化(特定のアルゴリズムを使って元の情報を変形すること。同じアルゴリズムと同じ情報を使えばハッシュ化の結果は毎回同じになるが、ハッシュ化の結果から元の情報を復元することはできない)したものを公開鍵暗号方式(「秘密鍵」と呼ばれるもので暗号化し、復号する(元に戻す)際は「公開鍵」というものを使用するような暗号化の方式)で暗号化したもので、情報の受信者が検証することで「情報が本人から送られていること」「情報が通信の途中で改ざんされていないこと」を確認できます。これを正しく説明した文は ②(ア) です。
他の選択肢はデジタル署名では検証できないため誤りです。
ちなみに、①は暗号化で使われる「鍵」の説明です。受信者が鍵を使用して暗号化された情報の復元に成功した場合、情報が正しく暗号化されていることを確認できますが、デジタル署名にこの機能はありません。

b 「IPアドレス」とは、インターネットに接続されたデバイスの住所のようなものであり、インターネットに直接接続された各デバイスに1つ以上割り振られています。インターネットの利用者はIPアドレスを利用して各デバイスにアクセスします。
現在世界で主流となっているIPアドレスはIPv4とIPv6の2種類があり、本文で触れられている「128ビットで構成されるIPアドレス」とはIPv6のことです。かつてはIPv4だけが主流でしたが、32ビットで構成されており、理論上では43億台のデバイスに割り振ることができるものの、インターネットの普及によってアドレスが枯渇したため、新しいIPv6が設けられました。(今の世界人口が大体80億人ほどなので、1人1台ネットに繋がるデバイスを持ったらそれだけで足りなくなりますね!)。そのため、正しい答えは ②(イ) です。
⓪①③はIPv4でも対応してます。④はIPアドレスとは関係ありません。
ちなみに、IPv6は理論上約340澗のデバイスに割り振ることができます。なんか数字が大きすぎてよくわかりませんが、これなら枯渇はしなさそうですね。
あと、詳しくは省きますが、IPv6ではセキュリティも強化されています。「セキュリティを強化するため」という選択肢がもしあったら、これも答えになってたかもしれません。

問2

各セグメントで点灯/消灯の2種類があるので、合計では2^7= 128(ウエオ) 通りあります。

また、図3をみると大文字が8種類、小文字が5種類あることがわかり、セグメントの先頭2桁で8*5=40通りが表現できます。表示したいエラーコードは合計5000種類で、数字のセグメントを1つ増やすごとに表現できる種類は10倍に増えるため、数字のセグメントを3つ、つまり計2+3= 5(カ) つのセグメントを用意すれば、8*5*10^3=40000種類(>5000種類)のエラーを表現できます。
数字のセグメントが2つの時は、4000種類となり5000種類を満たしません。

問3

数字を入力し間違えていたり、数字のデータが途中で欠損していたり改ざんされていたりしないことを確認するために元の情報にプラスでつけられた数字の桁を「チェックディジット」といいます。生成方法Bに従って計算すると、足し合わせた値は2*3+2+6*3+0+9*3=53となり、これを10で割った余り(=R)は3なので、これを10から引くと、答えは 7(キ) となります。

クについて考えると、⓪と①は間違え方によってはどっちの方法でも検出できます(合計値が変わるため)。②は奇数桁(生成方法Bで3を乗ずる桁)が変わっているため、方法A,Bのどちらでも検出できません。残る③は、Aでは合計値がわからないため検出できないものの、Bでは3を乗ずる数と乗じない数が入れ替わっているので検出できる可能性があり、そのため答えは ③(ク) です。

問4

問題文の中で示された法則は「フィッツの法則」と呼ばれており、マウスカーソルだけでなく、物理的なボタンの配置などにも使用されています。

a 端にあるオブジェクトはマウスを勢いよく動かしても止まることができるため指し示しやすいことと、マウスカーソルの距離からを考えると ②(ケ) が正解です。

b 各メニュー項目の大きさが同じため、フィッツの法則を当てはめると、単純にマウスカーソルからの距離が遠いほど指し示しにくくなります。利用頻度を基準に考えると、より高い頻度で使用するメニュー項目はより押しやすい位置にあったほうが良いでしょう。この視点で考えると、項目5はマウスカーソルから一番離れているため利用頻度が少ないと考えられ、 ⓪(コ)①(サ) が正解です。

第2問

A

企業全体で集めたデータを1個にまとめたシステムを「データウェアハウス」と言い、データウェアハウス内にあるデータを数学的、統計的に分析し、規則や因果関係を見つけることを「データマイニング」といいます。問題文の中ででてくる「LikeWing」は情報を本部で一括管理しているため、データウェアハウスを持っていると言えるでしょう。

問1

「時間帯ごとの総売上額(消費税込)」を比較するためには、購入時刻と「 ⑤(ア) 購入した商品の合計金額」が必要になります。他の選択肢では、総売上額を求めることができません。
「曜日別の各商品の購買の状況」を把握するためには、「購入日、曜日」の他に「 ③(イ) 商品コード, 購入商品名」と「 ④(ウ) 購入した商品の個数」が必要です。各商品の購買状況を求めたいのですから、⑥の購入した商品の個数の合計や⑤の購入した商品の合計金額は使えません(これらの項目では全ての商品の総利益や販売個数を知ることができても、個別の商品の利益や販売個数はわかりません)。

問2

「ポイント会員情報とレシートの情報を組み合わせて分析」し、「ポイント会員情報には会員の『ID』『名前』『性別』『生年』の4つが含まれている」ことを問題文より読み取る必要がある問題です。特に、ポイント会員情報に「ID」が含まれているということは、Yさんの最初の発言から気づく必要があり、少し難易度が高そうです。会員情報に含まれている「生年」より、会員の「年齢」も推測することができます。これを基に各選択肢を吟味してみると、
⓪(エ) が正しそうです。購入した理由は、ポイント会員情報やレシートの情報からは確実にはわかりません。(例えばあるお客さんがショートケーキを買ったとしても、受験合格祝いに買ったのかお誕生日だから買ったのかは確実にはわかりませんね。)
一応他の選択肢も見てみます。 ①はレシートの「商品コード, 購入商品名」と会員情報の「ID」を使用すれば得られるので誤りです。
②はレシートの「商品コード, 購入商品名」と会員情報の「生年」から推測した「年齢」を使用すれば得られるので誤りです。
③はレシートの「購入時刻」と会員情報の「性別」と、「生年」から推測した「年齢」を使用すれば得られるので誤りです。

問3

(あ)(い)(う)それぞれに必要な情報を見てみましょう。
(あ)の配送情報では、LikeWing配送センターがそれぞれどの店舗にどれくらいの商品を配送するかなどを送っていることが推測できます。店舗を特定するためには、Ⅰ店コードが必要になりそうです。一方、お客さんに関する情報は含まれなさそうなので、Ⅱポイント会員IDは不要でしょう。 (い)では、Ⅰ店コードがないとどの店の売上・購買情報かがわからなくなってしまうのでⅠ店コードが必要そうです。「購買情報」とありますので、お客さんのデータも送られていそうです。最初の会話文に、「会員情報は本部の情報システムで一括管理している」とありましたので、各店舗はレシートのデータと会員IDだけを本部に送り、本部がデータマイニングをしていると考えるのが自然でしょう。そのため、Ⅱポイント会員IDも送られていそうです。 (う)は、問題文を見ると、お客さんがポイントカードを提示していることを表していると判断できます。手元にポイントカードがある人は見てみてほしいんですが、多分たいていのポイントカードにはバーコードがついていると思います。このバーコードに書かれている情報は「ポイント会員ID」です。店は、ポイントカードからポイント会員IDを読み取り、データとして収集します。そのため、(う)にはⅡポイント会員IDを使用します。一方、Ⅰ店コードは使用していないでしょう。(店側からみたら自分の店で買っているのは当たり前なので。)
以上のことから考えると、Ⅰ店コードを使用するのは(あ)(い)なので ③(オ) 、Ⅱポイント会員IDを使用するのは(い)(う)なので ⑤(カ) が答えとなります。

問4

それぞれのメリットについて考えます。 Ⅰは現在のポイントカードのポイント数を得るためにポイント会員IDとネットショッピングのアカウントが対応付けられている必要があるので、条件「あ」が必要です。一方、商品は関係なさそうなので条件「い」「う」は不要でしょう。 Ⅱはポイントカード、ネットショッピング上の商品、その商品の実店舗の在庫のすべての情報が必要なので、条件は「あ」「い」「う」全て必要そうです。 Ⅲは実店舗の商品の情報が必要なので条件「い」が必要です。また、顧客の実店舗の購買状況も把握する必要がありますので、条件「あ」も必要になります。ただ、条件「い」に関しては問題文に書かれている「商品の購入傾向が実店舗も含めて類似している他の顧客の購入履歴」を「ネットショッピングと実店舗それぞれで類似度を判断する」と解釈するか「ネットショッピングと実店舗の各商品の購買数を合計して類似度を判断する」と解釈するかによって答えが変わってきそうです。正直筆者も迷いましたが、大学入試センターが公表した回答には③が答えとありましたので、後者の解釈が正解のようです。
以上のことより判断すると、Ⅰは条件「あ」が必要なので ⓪(キ) 、Ⅱは条件「あ」「い」「う」全てが必要なので ⑥(ク) 、Ⅲは条件「あ」「い」が必要なので ③(ケ) が正解です。

B

問1

問題文より、「一万円札で払われた場合はおつり4千円を渡すため手持ちの千円札4枚がなくなる」こと、「千円札で払われた場合は手持ちの千円札が6枚増えること」がわかります。乱数rが3以下なら千円札で、4以上なら一万円札で払うとありますので、これに従って表1を考察してみます。表の一部が?で隠されてあります。それぞれの人について、乱数rが3以下(2,8,10人目)なら「手元の一万円札の枚数」を一つ上の段から1増やし、「手元の千円札の枚数」を一つ上の段から4減らします。乱数rが4以上(1,3,4,5,6,7,9人目)なら、「手元の一万円札の枚数」は上の段の数字のまま、「手元の千円札の枚数」は一つ上の段に6を加えます。これを基に?を埋めていくと、5人目以降の「手元の一万円札の枚数」はそれぞれ4, 5, 6, 6, 7, 7、「手元の千円札の枚数」はそれぞれ-10, -14, -18, -12, -16, -10となり、このことから 5(コ)-12(-サシ) が正解です。また、「手元の千円札の枚数」の最小値は7人目の-18なので、千円札はあらかじめ 18(スセ) 枚用意しておけば不足することなしに集金できます。

問2

それぞれの選択肢を吟味してみます。
⓪は誤りです。全員が一万円札で支払った場合、Mさんが集金する人数は10人で、1回の支払いごとに千円札4枚が減りますから、合計で40枚の千円札が必要です。グラフを見てみると、「手元の千円札の枚数」の最小値が-40になった場合がありますので、これは不適となります。
①は正しそうです。最後まで千円札が不足しなかった場合、「手元の千円札の枚数」の最小値は0になるはずです。0になった場合は800回あり、合計10000回シミュレーションしたとあるので、最後まで千円札が不足しなかった割合は800/10000=0割8分です。これは1割以下なので正しそうです。
②は誤りです。別の乱数を使うと、それぞれの支払い結果も変わるため、グラフは必ずしも同じにはなりません。ただし、さらに回数を増やせば、グラフの形は似通ってきます(シミュレーションの結果は理論値に収束するので)。しかしながら、全く同じになる確率は果てしなく低くなります。
③は誤りです。全員が千円札でお金を支払った場合は「手元の千円札の枚数」の最小値は初期値の0になります。グラフを見ると「手元の千円札の枚数」の最小値が0になっている場合もありますが、例えば2人目だけが一万円札で支払い、他の1人目と3~9人目が千円札で支払った場合も千円札は不足しないため「手元の千円札の枚数」の最小値が0になります。そのため、全員が千円札でお金を支払ったケースがないとはいいきれませんが、あるともいいきれません。よって不適です。
以上より、 ①(ソ) が正解です。

問3

これもそれぞれの選択肢を考えてみます。 ⓪は、例えば最初の1人が千円札で支払い、後の9人が全員一万円札で支払った場合、最後の千円札の所持数は6-9*4=-30枚となり、不足することがわかるので不適です。
①全員が千円札で支払えば明らかに用意された千円札をまったく使うことなく全員からの集金を終えられるので不適です。
②は千円札で支払った人が5人いるため、一万円札で支払った人は多くとも5人になることがわかります(合計10人なので)。たとえ最初の5人が一万円札で支払ったとしても、最初に用意した20枚の千円札でまかなえます(5*4=20)ので、途中でおつりが不足することは起こりえません。よってこれが正しいです。
③は例えば最初の8人が一万円札で支払った場合、6人目の時点で千円札が不足するため、不適です。
よって、 ②(タ) が正解です。

第3問

プログラミングに関する問題です。試作問題の時点で大体予想はついてましたが、ロジックを考える問題が主でした。俗に言うfor文とかも出てきてますが、配列について特に深く問われています。
「工芸品を作る」と言うタスクを部員の中でうまく分担して効率的に作るという問題です。基本情報技術者試験とかでよく出るプリンターの割り当て問題の応用的なものかと思われます。部員を酷使しすぎのような気もしますが、考えないことにします。

問1

図1には既に工芸品4までの割り当てが示されています。工芸品4の割り当てを見てみると、部員 2(ア)2(イ) 日目~2日目に担当する(=2日目の朝から1日間担当する)ことになっています。
工芸品5についてもルールに沿って考えてみます。工芸品4までが割り当てられた時点では、図1を見ると最も早くに空きが来ているのは部員2(3日目が空きになっている)であることがわかります。最も早く空きになる部員が次の工芸品を担当することになっていますので、工芸品5は部員 2(ウ)3(エ) 日目から 5(オ) 日目まで担当します。工芸品5の製作日数が3日だからと言って、オの回答を3(エ)+3=6にしないように気を付ける必要があります。担当する日付には最初の日と最後の日を両方含みますので、工芸品5の制作日程は3, 4, 5日の3日間です。

問2

プログラム内では配列「Akibi」が用意されています。配列とは、一つの変数の中に複数の値が入っているような変数のことです。配列の中にある値を「要素」と言います。配列の中にある各要素には「インデックス」と呼ばれる数字が割り振られており、例えば配列「Akibi」の1番目(インデックス1番)の要素の値を知りたいときは「Akibi[1]」のように書きます。
多くの学校では情報Ⅰの授業でPythonを習うと思うのですが、Pythonの配列のインデックスが0から始まる一方、今回の共通テストで使われた疑似言語(試験などで使われる日本語が混じったプログラミング言語)はインデックスが1から始まっているという点に注意が必要です。
今回の配列「Akibi」は、部員番号をインデックス、各部員が空きになる日付を要素にしているようですので、Akibi[3]は部員3が空きになる日を答えればよく、図1より答えは 4(カ) となります。

つぎに、図4のプログラムを考えます。
私が思うに、このようなタイプのプログラミング問題を解くコツは2つあります。 1つめは、「どの行で何をしているかに注目する」ということです。今回なら、1,2行目はあらかじめ決められている値を設定し、3~6行目で次の担当がだれになるかを計算し、変数「tantou」に代入しています。7行目では、計算結果を表示させています。
2つめは、「定数」と「一時変数」の区別をしっかりつけるということです。「定数」とは、あらかじめ決まっていて基本的に値が変更されない変数のこと、「一時変数」とは、計算途中で何回も値が変わる変数のことです。
今回なら、1,2行目で設定される「Akibi」「buinsu」が定数、3行目以降で出てくる「tantou」「buin」が一時変数です。今回なら特に、3行目にでてくる「tantou」が定数なのか一時変数なのか分かりづらいですが、値がプログラムの途中で変わっているためこちらは一時変数になります。一時変数は、最初に代入された値(初期値)が必ずしも答えになりません。今回なら、図4のプログラムを実際に実行すると「次の工芸品の担当は部員2です。」と表示されます。3行目に代入されている1ではありません。一時変数は計算途中の値を一時的に保存するために存在しているという点に注意すれば、このタイプの問題は解きやすくなります。
これは余談ですが、実務でPythonを使用する場合は、わかりやすいように定数の変数名はすべて大文字にしておくことが多いです。今回はテスト問題だからかすべて大文字にはなっていないようですが...(というか、今回の命名規則はだいぶ謎です。すべて小文字かと思ったのですが、よく見るとAkibiのAは大文字になっています。配列が入る変数だけ変数名の頭文字が大文字になっているのかなとも思いましたが、よくわかりません。)

以上2点のコツを踏まえて、今回の問題を考えてみます。
3~6行目(計算部分)を見ると、最初に一時変数「tantou」に1を代入し、部員(buin)の中で仮担当(tantou)よりも空きになる日が早い人がいればその人を新しい「tantou」にしていることがわかります。これを踏まえると、5行目のif文(もし~ならの文)には「当該部員の空き日が現在の仮担当の空き日よりも早い」という条件が入りそうです。これに当てはまるのは、 ①(キ) です。⓪と②は、単純に部員の番号を比較しているだけで、空き日を比較しているわけではない点に注意してください。

参考までに、図4のコードをpythonで書くと下のようになります。ただし、配列のインデックスを合わせるために、Akibiの最初はNoneにしてあります。

python

部員の数が5になり、空き日(Akibi)が[5, 6, 4, 4, 4]になった場合のプログラムを(頭の中で)実行してみます。この場合、最初に仮担当(tantou)が1になり、その後buinが2のときはAkibi[buin]が6、Akibi[tantou]が5ですので、Akibi[buin] < Akibi[tantou]は成り立たないのでif文の中は実行されません。次、buinが3のときは、Akibi[buin]が4、Akibi[tantou]が5ですので、Akibi[buin] < Akibi[tantou]が成り立ち、仮担当(tantou)が3に変わります。この時点で、Akibi[tantou]も5から4に変わります。同様にしてbuinが4の時と5の時についても考えてみると、どちらもAkibi[buin] < Akibi[tantou]成り立たないので、6行目の代入は 1(ク) 回だけ実行されるということがわかります。

参考までに、変更後の図4のコードをpythonで書くと下のようになります。ただし、配列のインデックスを合わせるために、Akibiの最初はNoneにしてあります。

python

問3

つぎに、図5のプログラムを考えます。 6行目から9行目(破線で囲われた部分)が図4のプログラムの3行目から6行目と同じことを考えると、このプログラムでは各工芸品で担当を決めているということがわかります。前回はAkibiは定数でしたが、今回Akibiは一時変数になっています。プログラムの途中でAkibiの値は変わるということに注意する必要があります。
先述の通り、各工芸品で担当を決めているので、5行目は各工芸品について繰り返していると推測できます。「kougeihin」と言う変数が工芸品の番号として使われている(10行目)ことを考慮すると、ケはkougeihin( ①(ケ) )となり、コはkougeihinsuu( ④(コ) )となります。
「表示する」関数の内容をみるかぎり、サに入るのは工芸品の制作日程の終わりの日です。問1より、制作日程の最後の日は「最初の日+制作にかかる日数-1」で求まることがわかり、最初の日はAkibi[tantou]となるため、サはNissu[kougeihin]-1( ②(サ) )となります。Nissu[kougeihin]が「制作にかかる日数」です。配列Nissuのインデックスは工芸品の番号になっている点に注意してください(担当する部員の番号ではない)。
さらに、kougeihinをtantouが担当することによりtantouの空き日は工芸品の制作にかかる日数だけ加算されるため、Akibi[tantou]には工芸品の制作にかかる日数を追加する必要があり、そのためシはNissu[kougeihin]( ⓪(シ) )となります。

参考までに、図5のコードをpythonで書くと下のようになります。ただし、配列のインデックスを合わせるために、NissuとAkibiの最初はNoneにしてあります。

python

第4問

各地方の「出張目的の旅行者」「帰省目的の旅行者」「観光目的の旅行者」それぞれの数から、データの特徴を考察する問題です。ある種のデータマイニングともいえるかもしれません。

問1

表の中にあるデータがどのような性質を持っているかの分類基準を「尺度水準」と言うそうです(参考: https://www.stat.go.jp/dstart/point/seminar/02/3-1.html )。恥ずかしながら、筆者はこの言葉を解いている際に初めて知りました(勘で選んだらたまたま両方とも正解していましたが...)。そのため、アとイに関しては上記サイトの情報をもとに解説します。
アについて考えると、地方はあくまで名前として解釈され、比較や加減はできないことがわかり、名義尺度( ③(ア) )が正解です。
名義尺度とは、あくまで分類のためだけに設けられたデータのことを指し、2つのデータを比較したりすることはできません。
イについて考えると、旅行者数に関する数字は全て加減や比較が行えるので、比例尺度( ⓪(イ) )が正解です。
比例尺度とは、数字の強度が等間隔に並び、かつ原点(0)があるもので、比較や加減ができるデータのことです。
そのほかの選択肢については、「間隔尺度」は数字は等間隔に並ぶものの原点がないもので、こちらも比較や加減ができます。
「順序尺度」は数字が大きいほど強度が強いものの等間隔には並んでいないデータのことで、比較はできますが、加減はできません。

ウとエは図1をみて考察します。各選択肢を吟味してみます。
⓪は正しそうです。図1(a)を見ると、帰省の棒グラフの値は関東が最も高いことがわかります。
①は誤りです。図1(a)を見ると、観光の棒グラフの値が最も高いのは沖縄ではなく関東です。
②は正しそうです。割合は図1(b)の帯グラフで見ることができますが、出張等の割合は関東がおよそ18%である一方、東北はおよそ22%であり、東北のほうが高いです。
③は誤りです。図1(b)を②と同様に見てみると、観光の割合は中部がおよそ71%であるのに対し近畿はおよそ63%であり、逆に中部のほうが高くなっています。
以上より、 ⓪(ウ)②(エ) が正解です。

問2

散布図についても解答群を見比べてみましょう。
⓪は誤りです。観光と帰省の散布図のグラフを見てみると、ある県より観光は多いのに帰省は少ない県がいくつか存在します。
①は正しそうです。これは、帰省と出張の散布図に傾きが3/2の直線を引くと分かります。全ての点が直線より下にありますので、出張の旅行者は帰省の旅行者の1.5倍を確かに下回ります。
②は誤りです。帰省と出張の散布図で最も上にある都道府県に着目すると、この都道府県の出張の旅行者数はおよそ8500人です。観光と出張の散布図でもこの都道府県が上にあることがわかる(出張の旅行者数が8500人程度の都道府県は1つだけなので)ため、この2つの散布図間で一番上にある都道府県は同じです。
③は正しそうです。それぞれの散布図で相関係数が正なので、ある目的の旅行者が多くなるほど他の旅行者も結果的に多くなっています。
④は誤りです。旅行者の目的の間に「相関関係」はあっても「因果関係」はありません。相関関係とは「結果的に片方の値が増えればもう片方の値も多くなっていること」、因果関係では、「片方の値が直接もう片方の値に影響を与えていること」です。散布図だけでは、因果関係があることはわかりません(相関関係はあるけど因果関係はないというのについては、「アイスクリームがよく売れる日は溺死者が多くなる」というたとえが有名です。もしよければ調べてみてください)。
以上より、 ①(オ)③(カ) が正解です。

問3

キについては、 ⓪(キ) が正しいです。この2つの都道府県では、観光の旅行者数より出張の旅行者数のほうが多い。つまり、(観光の旅行者数)<(出張の旅行者数)が成り立っています。Cが正の数のとき、A<BならばA/C<B/Cであることを考えると、出張/人口の値も観光/人口の値より大きくなり、またこの反対も言える(観光のほうが出張より大きいのなら観光/人口も出張/人口より大きい)ので、これらは同じ都道府県であることがわかります。

クは、少し難しいですが、人口が少ないと観光/人口と出張/人口の値は大きくなるため、 ③(ク) が正解です。⓪は、散布図は逆転しません。①と②については、「差」と「観光を出張で割った数」は散布図ではでてきていません。

問4

ケについては、数式で考えてみると分かりやすいです。「観光等の旅行者が人口の4倍以上訪れる」とは、つまり、(観光の旅行者数)>=4*(人口)、すなわち、観光/人口>4ということです。これを満たす点は 2(ケ) つあります。
コ、サ、シについては、第三四分位数の部分で直線を引き、散布図を4分割すると分かりやすいです。4分割された散布図のうち、左上が「観光等は多めではないが出張等は多めの都道府県」、右上が「出張等も観光等も多めの都道府県」、右下が「出張等は多めではないが観光等は多めの都道府県」、左下が「出張等も観光等も少なめの都道府県」となります。これをもとに考えると、 ③(コ)②(サ) が正解です。シについては該当する都道府県が2つありますが、「出張/人口」を「観光/人口」で割った値を実際におおよそで求めてみると、Dが0.41/4.4=0.093、Eが0.17/5.0=0.034となり、Eのほうが小さいため、④(シ) が正解です。